司馬遼太郎の歴史小説はどれから読む?8作品の時代順・読む順番ガイド|竜馬がゆく・燃えよ剣・坂の上の雲まで

小説

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司馬遼太郎は作品数が多く、しかも一作ごとに扱う時代がばらばらです。書店で背表紙を眺めて、結局どれから手を出せばいいのか決められずに帰った——そんな経験のある方に向けて、当サイトで個別に紹介してきた8作品を時代順に並べ直し、読む順番の入口を三つに整理しました。

迷ったら、この1冊から

最初の一冊で失敗したくないなら、『燃えよ剣』の上巻が最も軽い入口です。上下巻で完結するので長さで挫折しにくく、新選組という知名度の高い題材なので前提知識も要りません。

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時代順に並べると、司馬遼太郎の全体像が見えてくる

司馬作品は、刊行順に読んでも歴史の流れとは一致しません。逆に作中の時代順に並べると、平安初期から明治までが一本の線になります。当サイトで扱っている8作品を、その順に置き直したのが下の並びです。

①平安初期 『空海の風景』

唐へ渡り、密教を持ち帰った空海を追った上下巻です。合戦も政変もほとんど出てこず、一人の人間が思想を獲得していく過程だけが描かれます。司馬作品のなかでは異色で、人物伝というより思考の記録に近い読み口です。

詳しくは『空海の風景』上下巻の読みどころにまとめています。

②戦国 『国盗り物語』

全4巻。前半が斎藤道三、後半が織田信長という二段構えで、「国を盗る」という一つの主題を二世代で受け渡す構成になっています。戦国を扱った司馬作品の入口として選ばれることの多い一作です。

詳しくは『国盗り物語』全4巻を徹底紹介へ。

③江戸後期 『菜の花の沖』

全6巻。淡路島の船乗りから北前船の廻船商人になった高田屋嘉兵衛が主人公です。武士ではなく商人が主役で、舞台も陸ではなく海。経済と物流の側から江戸を見るという、他の司馬作品にはない視点が得られます。

詳しくは『菜の花の沖』全6巻のあらすじと結末へ。海を軸にした作品の並びは海から読む日本史 完全ガイドにもまとめてあります。

④幕末 『世に棲む日日』『竜馬がゆく』『燃えよ剣』『峠』

司馬作品がいちばん厚いのが幕末です。当サイトで扱う4作は、同じ時代をそれぞれ別の立場から描いています。

思想の側から──『世に棲む日日』

全4巻。吉田松陰と高杉晋作を前後半で受け渡す構成です。何かを始める人と、それを実行に移す人の違いが主題になります。→あらすじと読みどころ

行動の側から──『竜馬がゆく』

全8巻。司馬作品でもっとも読まれている一作で、坂本龍馬像そのものを作ったとも言われます。ただし小説として描かれた龍馬であって、史実そのものではない点は押さえておきたいところです(※諸説あり)。→全8巻を徹底紹介

守る側から──『燃えよ剣』

上下巻。新選組副長・土方歳三を追います。倒す側ではなく守る側から幕末を見ることになるので、『竜馬がゆく』と続けて読むと同じ事件が反転して見えます。→上下巻を徹底紹介

どちらにも付けなかった側から──『峠』

全3巻。長岡藩の河井継之助が主人公で、幕府にも新政府にも属さない道を選ぼうとします。勝った側の物語では拾えないものが残る一作です。→あらすじと結末

メリット幕末4作は舞台が重なるので、読むほど同じ事件の見え方が増えます。
向かない人・注意人物の内面描写は作者の解釈を含みます。史実として読む場合は年表で確かめてください。

時代そのものの流れを先に押さえたい場合は幕末・維新を漫画と歴史小説で学ぶ完全ガイドが早道です。

⑤明治 『坂の上の雲』

全8巻。秋山好古・真之の兄弟と正岡子規を軸に、日清・日露へ向かう明治日本を描きます。幕末4作を読んだあとに入ると、同じ人々が国を作る側に回った続きとして読めます。→あらすじ・読む順番・登場人物

同じ時代の他の作品は明治・大正・昭和を漫画と歴史小説で学ぶ完全ガイドに並べてあります。

どれから読むか、入口は三つある

一つめは「短いものから」。上下巻で終わる『燃えよ剣』か、全3巻の『峠』です。長編に耐えられるかを試すには、この二つがいちばん安全です。

二つめは「知っている人物から」。坂本龍馬なら『竜馬がゆく』、織田信長なら『国盗り物語』。人名を知っていると、最初の100ページの負荷がぐっと下がります。

三つめは「時代順に上から」。上の①から順に読むやり方で、通史として頭に入ります。ただし『空海の風景』は司馬作品のなかでも読み口が特殊なので、ここから始めると司馬遼太郎の印象がずれることがあります。時代順で行くなら②の『国盗り物語』を起点にするのが無難です。

8作をそろえると、いくらかかるか

長さの目安として、『竜馬がゆく』と『坂の上の雲』はどちらも全8巻で、電子版の全巻セットがそれぞれ6,400円前後(確認した時点)。紙の文庫セットはこれより少し高くなります。8作すべてを紙でそろえるとなると、合計は数万円の規模です。価格は改訂や在庫で動くので、最新の値は各ページでご確認ください。

長編を何作も読むつもりなら、1冊ずつ買うより読み放題のほうが総額は下がります。総額の比べ方は歴史まんがは読み放題とレンタルの併用がいちばん安いで整理しました。

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よくある質問

刊行順ではなく時代順で読んでも大丈夫ですか。
問題ありません。8作はどれも独立した物語で、続き物ではないためです。時代順に読むと、幕末の4作が同じ事件を別角度から扱っていることに気づきやすくなります。
小説に書かれていることは史実ですか。
史実を土台にした創作です。人物の内面や会話は作者の解釈で、研究の進展によって評価が変わっている部分もあります(※諸説あり)。気になった箇所は年表や解説書で確かめるのが安全です。
全部読むのにどれくらいかかりますか。
8作の合計は文庫で40冊近くになります。1日1冊のペースでも1か月以上、ふつうは半年から1年かけて読み進める分量です。急がず、興味のある時代から一作ずつが現実的です。

現代の私たちへ

8作を並べてみると、司馬遼太郎が繰り返し書いているのは「役割が変わる瞬間の人間」だとわかります。道三から信長へ、松陰から晋作へ、幕末の志士から明治の官僚へ。前の世代がやり残したことを、次の世代が別のやり方で引き受けていく。立場や肩書きが変わるときに何を持ち越し、何を捨てるのか——その問いは、組織のなかで役割が変わっていく私たちにも、そのまま当てはまります。

まとめ

司馬遼太郎の8作品は、時代順に並べると平安初期から明治までの一本の線になります。入口は「短いもの」「知っている人物」「時代順」の三つ。最初の一冊で迷ったら上下巻で終わる『燃えよ剣』から、長編に挑むなら『竜馬がゆく』か『坂の上の雲』から。どの入口を選んでも、幕末の4作にたどり着いたところで読み方が一段変わります。

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