勝連城跡 歴史さんぽ|阿麻和利の城を歩く前に、『琉球建国記』858円・図説715円・列伝1,650円を比べる

歴史さんぽ

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勝連城跡は、沖縄県うるま市にあるグスクの城趾です。海へ突き出した勝連半島の丘に石垣が段々に積み上がっていて、城主だった阿麻和利の名前とともに語られます。今夜は、ここを歩く前に読んでおくと景色の見え方が変わる三冊を、値段と役割の両方で比べました。昨夜の中城城跡と対になる場所なので、あわせて読むと一四五八年の出来事が立体的になります。

勝連城跡の丘と段状に積まれた石垣を見上げたところ
丘の斜面に沿って段々に積まれた石垣。上に見えているのが城の最も高い郭にあたります。

勝連城跡はどんな場所か

城は海沿いの独立した丘に築かれていて、下から見上げると石垣が三段にも四段にも重なって見えます。登っていくと視界が一気に開け、東には中城湾、西には市街地と海が広がります。この「見える範囲の広さ」が、そのままこの城の性格でした。勝連は農地に恵まれた土地ではなく、海を通した交易で豊かになった場所だからです。

わたしが写真を見比べていて意外だったのは、石垣そのものより先に海が目に入ることでした。城を守るための壁というより、海を見張るための台のように見えます。歩く前にそう思っておくと、現地で足が向く方向が変わると思います。

勝連城跡の石段と石垣、その向こうに広がる海
郭へ上がる石段。登りきる前から、石垣の左手に海が見えてきます。

一四五八年に、この城で何が終わったか

勝連城主の阿麻和利は、生年は分かっておらず、一四五八年に亡くなったと伝えられる十五世紀の按司です。北谷間切屋良村、いまの嘉手納町字屋良の出身で、幼名は加那といいました。一方、昨夜歩いた中城城の護佐丸も同じ一四五八年に亡くなっています。中城按司だった護佐丸は第一尚氏王統の建国の功臣でしたが、晩年に謀反を疑われて自害したと伝えられる人です。※出典は日本語版ウィキペディアの「勝連城」「阿麻和利」「護佐丸」の各項目を本日実読しました。

この二人が同じ年にいなくなったことが、琉球の歴史で最も語られてきた事件のひとつです。ただし、どちらが仕掛けたのか、王府がどこまで関わっていたのかについては、伝承と研究で見方が分かれています。阿麻和利を謀反人として語る筋もあれば、交易で力をつけた地方の実力者が中央に排除されたと読む筋もあります。※諸説あります。この記事では、どちらが正しいかを決める立場は取りません。現地で立つときに「ここはその見方が割れている場所だ」と知っていること自体が、景色の解像度を上げてくれます。

歩く前に読むなら、この三冊をどう使い分けるか

琉球の十五世紀を扱う本はいくつもありますが、勝連城跡に行く前に効くのは役割の違う三冊です。本日Amazonで実測した価格とあわせて並べます。

本価格分量現地で効くところ
矢野隆『琉球建国記』集英社文庫電子858円/文庫924円424ページ◎ 人の事情で読める。丘に立ったとき誰の目線で見るかが決まる
高良倉吉・田名真之編『図説琉球王国』715円127ページ◎ 図版で全体像。グスクが並ぶ位置関係が頭に入る
上里隆史『琉球戦国列伝』1,650円119ページ○ 人物ごとに引ける。阿麻和利と護佐丸を往復して読める

三冊の性格ははっきり分かれます。『琉球建国記』は小説なので、読み終えたときに残るのは出来事ではなく人の都合です。『図説琉球王国』は127ページと薄いのに図版が多く、三冊でいちばん安い715円で「どこに何があるか」が入ります。『琉球戦国列伝』は人物事典に近い作りで、現地で名前が出てきたときに引き直せます。

はじめて琉球の十五世紀に触れるなら、『図説琉球王国』715円を先に通して、現地から帰ってきてから『琉球建国記』電子858円を読む順番がいちばん無駄がありません。二冊そろえても1,573円で、『琉球戦国列伝』一冊より77円安く収まります。逆に、阿麻和利という人そのものに興味が向いているなら、順番を入れ替えて小説から入ってください。

『図説琉球王国』(715円)を見る

矢野隆『琉球建国記』Kindle版(858円)を見る

『琉球建国記』集英社文庫(924円)を見る

上里隆史『琉球戦国列伝』(1,650円)を見る

楽天ブックスで『琉球建国記』を見る

勝連城跡の石垣の切れ目から見下ろす集落と中城湾
石垣の切れ目から下を見たところ。手前に集落、その先に中城湾が広がります。護佐丸の中城城は、この湾の向こう側です。

読む、歩く、また読む

この城の面白さは、上から見える範囲が歴史の説明そのものになっているところです。写真の三枚目のように石垣の切れ目から下を見ると、集落の先に中城湾が広がります。その湾の向こうが護佐丸の中城城で、つまり二人は互いの城が見える距離にいました。地図で読むと「近い」で終わる話が、現地では「見えている」に変わります。

わたしは昨夜、中城城跡の写真を同じように見ていて、そちらからも同じ湾が写っていたことを思い出しました。同じ水面を、二人が反対側から見ていたわけです。帰ってからもう一度『琉球建国記』を開くと、海の描写のところで止まる回数が増えると思います。

現代の私たちへ

阿麻和利は、中央から遠い場所で、中央とは別のやり方(海の交易)で力をつけた人でした。そして、その力がある水準を超えたところで、記録の上では謀反人になりました。成果の出し方が本流と違うほど、評価は成果ではなく「誰が記録を書くか」で決まりやすい——この城跡に立つと、そのことが地形ごと目に入ります。本社と違うやり方で数字を作っている現場にいる方には、六百年前の話として読めなくなると思います。※諸説あります。

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