佐藤次高『サラディン』はどこで読める?文庫・電子とも1,111円|『十字軍物語』第三巻と併読する【2026年版】

佐藤次高『イスラームの「英雄」サラディン 十字軍と戦った男』の紹介記事アイキャッチ 小説

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十字軍の話は、たいていヨーロッパ側から語られます。エルサレムを目指した騎士たちの物語として読むと、その相手だった人物は「立ちはだかった敵」としてしか出てきません。佐藤次高さんの『イスラームの「英雄」 サラディン――十字軍と戦った男』は、その相手の側に立って、同じ百年を書き直した一冊です。

この記事では「この本はどこで、どの版を、いくらで買うのが得か」を、2026年10月8日にわたしがAmazonで実際に採取した価格だけで組み立てます。結論を先に書くと、紙の文庫も電子版もどちらも1,111円で同額でした。つまり価格では決まりません。そのうえで、この一冊だけでは十字軍の片側しか見えないので、対になる塩野七生さんの『十字軍物語』第三巻を825円で足す併読をおすすめします。合わせて1,936円です。

迷ったら、この1冊から

最後まで読む気力があるなら、紙の文庫が読みやすい厚さです(288ページ)。スマートフォンで少しずつ読む人は、同額の電子版にしてください。

イスラームの「英雄」 サラディン――十字軍と戦った男 (講談社学術文庫 2083)

どんな本なのか

講談社学術文庫の2083番、288ページの一冊です。もとは1996年に講談社選書メチエから出た本で、2011年に文庫へ入りました。著者の佐藤次高さんはイスラーム史の研究者で、アラビア語の同時代史料を直接読んだうえで書いています。

わたしがこの本をおもしろいと感じたのは、主人公が最初から英雄として出てこないところでした。サラディン(サラーフ・アッディーン)はクルド人の軍人の家に生まれ、叔父に連れられてエジプトへ行き、そこで上司だった王朝を内側から引き継いでいきます。前半はほとんど政治の話で、十字軍と戦う場面はなかなか出てきません。けれどこの前半があるから、後半の戦いが「宗教戦争」ではなく「国をまとめ終えた人が、最後に残った仕事に取りかかった」ように読めてきます。

話の流れ(結末の核心は書きません)

大きな流れは三つに分かれます。ひとつめは、エジプトで権力を握るまで。ふたつめは、シリアまで含めて勢力をひとつにまとめる段階。みっつめが、1187年にエルサレムを取り戻し、そのあとヨーロッパから来た大きな遠征軍と向き合う段階です。

この本で印象に残るのは、エルサレムを明け渡させたときの処理の仕方です。攻め落としたあと住民をどう扱ったかという一点に、この人物の評価が集まっています。相手側の記録にまで「寛大だった」と書かれたことが、のちのヨーロッパで英雄視される出発点になりました。※諸説あり。記録によれば、という書き方で著者も慎重に扱っています。

最後の遠征軍を率いたのがイングランドのリチャード1世です。この二人は戦場で何度も向き合いながら、決着をつけずに休戦に落ち着きます。その経緯は本書の終盤に置かれているので、ここでは書きません。

どの版をいくらで買えるか(2026年10月8日の実測)

同じ内容が三つの形で売られています。わたしが実際に商品ページを一つずつ開いて採った値段です。

版価格ポイント在庫の状態
文庫(講談社学術文庫)1,111円34残り11点・入荷予定あり
電子版1,111円56すぐに読める
単行本(講談社選書メチエ75)930円—残り1点

いちばん安いのは単行本の930円で、文庫より181円安いです。ただしこれは1996年に出た古い版で、在庫が残り1点しかありません。通読するつもりの本を「売り切れたら終わり」の在庫に賭けるのは割に合わないので、わたしは候補から外しました。

そうすると残るのは文庫と電子版の二択で、どちらも1,111円でまったく同じ値段です。価格差がないので、ここで悩む必要はありません。

同額でも、ポイントは電子版のほうが22多い

ひとつだけ差がありました。付くポイントが文庫は34、電子版は56です。22の差なので、実質では電子版が22円ぶん得という計算になります。

とはいえ22円で読み方を決めるのは本末転倒です。わたしの判断は単純で、通して読みたいなら紙、調べ物として使いたいなら電子です。この本は人名と地名がとにかく多く、ヌール・アッディーンやザンギー朝といった名前が何十ページも後にまた出てきます。電子版なら前に出てきた箇所を検索で戻れるので、二周目以降は電子のほうが圧倒的に楽でした。逆に一周目は、紙で地図と年表のページを指で挟みながら行き来するほうが頭に入りました。

サラディンを読む(どちらも1,111円)
紙の文庫を見る(残り11点)
電子版を見る(ポイント56)
930円の単行本を見る(残り1点)
楽天ブックスで文庫を見る

この一冊だけでは足りません──対になる825円

ここが本題です。この本は「イスラーム側から見た十字軍」なので、読み終えてもヨーロッパ側で何が起きていたかは分かりません。リチャード1世はなぜ遠くから来て、なぜ決着をつけずに帰ったのか。その答えは本書の外にあります。

対になるのは塩野七生さんの『十字軍物語』です。ただし全4巻をそろえる必要はありません。実測すると文庫のばら売りは第一巻880円・第二巻880円・第三巻825円・第四巻737円で合計3,322円、電子の合本版は3,223円でした。サラディンを読んだあとに読む価値がいちばん高いのは、第三巻『獅子心王リチャード』825円の1冊だけです。サラディンと向き合った当人を正面から扱った巻がこれだからです。

2冊を組む場合の総額

  • 紙で2冊=サラディン1,111円+第三巻825円=1,936円
  • 電子で2冊=サラディン1,111円+第三巻742円=1,853円(電子のほうが83円安い)
  • 参考=『十字軍物語』の合本版だけで3,223円。サラディン側が1冊も入っていません

つまり1,853円から1,936円で、同じ戦いを両側から読めます。合本版をそろえるより1,287円以上安く、しかも視点はむしろ増えます。わたしは紙のサラディンを読んだあとに第三巻を読みましたが、同じ休戦交渉が逆の立場から書かれているところで、ようやく「この二人は勝ち負けを決めに来ていなかったのだ」と腑に落ちました。

対になる1冊を足す
十字軍物語 第三巻: 獅子心王リチャード(文庫825円)
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こんな人に向いています

  • 十字軍を習ったが、相手側の名前をひとつも言えないことに気づいた人
  • まんがではなく、史料に基づいた入門書で中東の中世を一冊だけ読みたい人
  • 英雄伝ではなく、人をまとめる仕事の話として歴史を読みたい人
  • 長編を買う前に、1,000円台で一度試したい人

逆に、戦闘場面の連続を期待して読むと前半で止まります。この本の面白さは軍事ではなく人事と財政にあるので、そこが退屈だと感じる人には向きません。

現代の私たちへ
この本でいちばん考えさせられたのは、サラディンが十字軍と戦い始めるまでに二十年近くかけていることです。先に自分の側をひとつにまとめ、財源と人の配置を固め終えてから、ようやく外に向かっています。順番を逆にしていれば、名前も残らなかったでしょう。わたしたちの仕事でも、外に打って出たくなるのは内側が整っていないときほど強いものです。評価が割れる相手を「敵」の一語で片づけず、その人が何を先に片づけたのかを見る。それだけで、同じ出来事の読み方が変わります。

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まとめ

  • 『イスラームの「英雄」 サラディン――十字軍と戦った男』は紙の文庫も電子版も1,111円で同額。価格では決まりません
  • 930円の単行本(選書メチエ版)は181円安いものの残り1点。通読用には当てにしないほうが安全です
  • 差はポイントだけで、電子版が22多い(56対34)。通読は紙、調べ直しは電子という使い分けが実用的でした
  • この一冊はイスラーム側の視点なので、『十字軍物語』第三巻825円を足して両側から読むのがいちばん費用対効果が高い。2冊で1,853円から1,936円です

価格・在庫・ポイントは2026年10月8日にAmazonおよび楽天ブックスの商品ページで採取した実測値です。変動しますので、購入前にリンク先でご確認ください。

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