観心寺 歴史さんぽ|楠木正成が学び、建掛塔を遺した寺へ。『私本太平記』は99円か7,348円か

観心寺の建掛塔を背景にしたアイキャッチ=歴史さんぽ 観心寺 なぜ塔は未完で残ったのか 歴史さんぽ

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大阪府河内長野市の山あいに、観心寺という寺があります。楠木正成が少年期に学んだと伝えられ、湊川で敗れたあとには首塚が置かれた場所です。正成の物語は湊川で終わりますが、その始まりと、その後がここに残っています。

今回は観心寺を歩きながら、吉川英治『私本太平記』を読み返しました。あわせて、この長編を最後まで読むのにいくらかかるのかを調べたところ、同じ作品が99円と7,348円で並んでいるという状態になっていました。順に書いていきます。

参道を上がる——ここが正成の学び舎だったとされる

観心寺の参道と山門(大阪府河内長野市)
観心寺の参道と山門(大阪府河内長野市)

石段を上がった先に山門があります。参道脇の石柱には史蹟の文字。正成は八歳から十五歳ごろまでこの寺で学んだと伝えられており、境内には中院という学問所の跡が残っています。

『私本太平記』を読んでから来ると、この坂の意味が変わります。作中の正成は、戦の天才としてではなく、まず考える人として出てきます。千早城の奇策も、河内の地形を知り尽くした人間の発想として描かれる。その素地がつくられた場所に立っていると考えると、ただの石段が急に生々しくなりました。

建掛塔——途中で終わったことが、そのまま形になっている

観心寺の建掛塔と金堂・阿弥陀堂(大阪府河内長野市)
観心寺の建掛塔と金堂・阿弥陀堂(大阪府河内長野市)

境内でいちばん足が止まったのが、この建掛塔です。正成が三重塔の建立を発願したものの、湊川の戦いで討たれたため初層だけで工事が止まり、そのまま茅葺きの屋根をかけて今日まで残っているとされます。

未完成の建物が六百年以上そのまま保存されている例は、そう多くありません。普通なら完成させるか壊すかのどちらかです。ここでは「途中で終わった」という事実のほうが保存されている。正成の死が周囲にとって何だったのかが、説明文よりもはっきり伝わってきます。

金堂は国宝——南北朝の空気が残る建物

観心寺の金堂=国宝に指定された本堂(大阪府河内長野市)
観心寺の金堂=国宝に指定された本堂(大阪府河内長野市)

金堂は国宝に指定されています。和様と禅宗様が混ざった建築で、南北朝期の再建とされます。境内の奥には後村上天皇の陵もあり、南朝がここを拠点のひとつにしていたことが地形からも実感できました。

『私本太平記』を最後まで読むと、いくらかかるのか

観心寺を歩いたあと、続きを読もうとして値段を調べたのですが、同じ作品なのに買い方で総額がまるで違いました。調査時点の実売価格を並べます。

買い方冊数価格
電子・合本完全版(全13巻ぶんが1冊)199円
電子・単巻(一)1484円
文庫・全8巻セット87,348円

合本完全版が99円、文庫のセットが7,348円。およそ74倍の開きです。さらに調査時点では、文庫版も合本版も読み放題の対象に入っていました(対象は入れ替わりますので、その都度ご確認ください)。

ただし安いほうが常に正解とは限りません。合本版は全編が1ファイルに入っているので、目当ての巻に飛びにくく、しおりの管理もしづらい。通読するだけなら最速で最安ですが、観心寺や湊川の場面だけ読み返したいという使い方には向きませんでした。私は結局、合本版で通読して、気に入った巻だけ紙で買い直しています。

目的別に選ぶ

とにかく全編を読み通したい方は合本完全版の99円。値段で迷う理由がありません。

巻ごとに区切って読みたい方は単巻。1巻だけ買って合わなければやめられます。

手元に置きたい方は文庫セット。ただしセットは在庫が細く、調査時点では残り1点でした。

現代の私たちへ
建掛塔が教えてくれるのは、途中で終わった仕事にも形が残るということです。正成は塔を完成させられませんでしたが、初層だけの塔が六百年残り、訪れた人に彼の死を伝え続けています。やりかけのまま手を離すことになった仕事を、私たちはつい失敗として片づけます。けれど何をやろうとしていたかは、完成しなくても残る。そう思える場所でした。

お得に読む

いちばん安く全編を読む(電子・合本完全版)
私本太平記 全13巻合本完全版(99円)

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私本太平記(一)文庫 968円 / 電子 484円
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文庫 全8巻 完結セット(7,348円)
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読み放題や聴き放題の対象は入れ替わりがありますので、対象かどうかはリンク先でご確認ください。

まとめ

観心寺は、正成の物語の入口と余韻の両方が置かれている場所でした。学んだ坂があり、建てかけたまま終わった塔があり、首塚がある。湊川が最期の地なら、ここは始まりと、その後の地です。

歩く前に『私本太平記』を読み、歩いたあとにまた読む。合本完全版なら99円ですから、迷う理由はほとんどありません。

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