まんがで坂本龍馬の生涯を追ったあと、その龍馬が実際に泊まり、命を狙われ、最愛の人に救われた場所に立てるとしたら——。今回の歴史さんぽは、京都・伏見の旅籠「寺田屋」を訪ねます。龍馬を描いた作品を「読んでから歩く」と、何気ない柱の傷や狭い階段までもが、物語の続きのように見えてきます。
寺田屋とはどんな場所か
寺田屋は、京都・伏見にあった船宿(旅籠)で、幕末の二つの大きな事件の舞台として知られています。ひとつは1862年(文久2年)の「寺田屋騒動」。尊王攘夷に逸る薩摩藩の急進派志士たちが、同じ薩摩藩によって鎮圧された痛ましい事件です。もうひとつが1866年(慶応2年)、坂本龍馬が伏見奉行の捕り方に襲われた「坂本龍馬襲撃事件」。このとき、入浴中に異変に気づいた おりょう(後の龍馬の妻)が、裸のまま二階へ駆け上がって危機を知らせ、龍馬を救ったという逸話は、あまりにも有名です。

読んでから歩くと、こう変わる
現在の建物は、鳥羽伏見の戦いののちに再建されたものと伝えられ、隣には当時の姿を再現した「旅籠 寺田屋」があります。柱に残るとされる刀傷や弾痕、龍馬が使ったとされる部屋、そして庭に立つ龍馬像や薩摩九烈士の碑——。事前にまんがで「誰がここで、何を思っていたのか」を知っていると、その一つひとつが物語の一場面として立ち上がってきます。私は、龍馬作品を読み返してから訪ねたとき、急な階段を見上げただけで、おりょうの駆け上がる足音が聞こえてくるようでした。
このさんぽと一緒に読みたい一作
寺田屋を歩く前にぜひ手に取ってほしいのが、武田鉄矢さん原作・小山ゆうさん作画の『お~い!竜馬』です。少年時代から暗殺されるまでの龍馬を、人間味たっぷりに描いた長編で、寺田屋の場面もたっぷり登場します。司馬遼太郎の小説『龍馬がゆく』とあわせて読めば、伏見の街歩きはぐっと深くなります。
現代の私たちへ
寺田屋に残るのは、英雄の華々しさだけではありません。志半ばで散った薩摩の若者たち、そして、とっさの機転で大切な人を守った おりょうの勇気です。歴史を「偉人の物語」としてだけでなく、その場にいた一人ひとりの選択として見つめ直す——。読んでから歩くという体験は、私たちに「自分なら、あの一瞬に何ができるだろう」と静かに問いかけてくれます。
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まとめ
京都・伏見の寺田屋は、坂本龍馬とおりょう、そして幕末の志士たちの記憶が今も息づく場所です。龍馬を描いたまんがや小説を「読んでから歩く」と、ただの観光地が、物語の舞台へと変わります。次の京都旅では、伏見の旅籠の前に立って、幕末の風を感じてみてください。
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