五稜郭 歴史さんぽ|土方歳三が最後に戦った星形の城を歩く・『燃えよ剣』の終着点【2026年6月】

歴史さんぽ

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五つの稜が星のかたちを描く、西洋式の城。
箱館の五稜郭は、新選組の土方歳三が最後に戦い、その生涯を終えた地です。
司馬遼太郎『燃えよ剣』の終着点を、いま函館に歩いてみます。

桜に包まれた五稜郭の星形を上空から見た空撮
空から見ると一目でわかる、五稜郭の星形。春は堀沿いに桜が咲き誇ります。

この地で何が起きたか——戊辰戦争、最後の戦場

五稜郭は、江戸時代の終わりに築かれた日本初の本格的な西洋式城郭です。
大砲の時代に備え、死角をなくすために五つの稜を持つ星形に設計されました。

  • 1864年(元治元年)ごろ:箱館の防衛と奉行所の拠点として五稜郭が築かれる
  • 1868〜69年:戊辰戦争の最終局面「箱館戦争」。旧幕府軍が五稜郭に立てこもる
  • 1869年5月:新政府軍の総攻撃。土方歳三が一本木関門の付近で戦死する
  • その数日後:榎本武揚らが降伏し、戊辰戦争が終結する

旧幕府軍を率いたのは榎本武揚、その陸軍を支えた一人が土方歳三でした。
京で新選組を率いた「鬼の副長」は、時代が大きく変わってもなお、自分の信じる道を貫いて北の地へ向かったのです。

筆者
勝てる見込みが薄いとわかっていても退かない。土方の生き方は、星形の城の輪郭のように、最後まで芯がぶれません。

作品との接続——『燃えよ剣』が描いた、土方歳三の終着点

司馬遼太郎『燃えよ剣』は、土方歳三の生涯を一本の線で描き切った長編です。
多摩のバラガキ(暴れん坊)だった青年が、新選組副長として鬼と恐れられ、やがてこの五稜郭で散るまで——その一本道の物語です。

筆者
『燃えよ剣』を読んでから五稜郭に立つと、「ここが、あの土方の最後の戦場か」と胸が詰まります。星形の堀の静けさが、いっそう深く感じられました。

剣に生き、組織に生き、最後まで「武士であること」にこだわった土方。
その姿を知って歩けば、五稜郭はただの史跡ではなく、一人の男の生き様が刻まれた場所として立ち上がってきます。

いま行くと何が見られるか

五稜郭タワーからの星形

地上からでは見えない星形は、隣接する五稜郭タワーの展望台から一望できます。
五つの稜がくっきりと描く幾何学の美しさは、ここでしか味わえません。

復元された箱館奉行所

郭の中心には、当時の姿に復元された箱館奉行所が建っています。
旧幕府軍の本陣が置かれた建物で、内部では箱館戦争の歴史も学べます。

堀と土塁をめぐる散策路

星形の堀に沿って、ぐるりと歩けるようになっています。
土塁に立つと、防御のために計算された稜の角度を体で感じられます。

桜の名所としての五稜郭

春には千数百本の桜が堀を縁取り、星形がやわらかなピンクに染まります。
かつての戦の舞台が、いまは函館随一の花見の名所になっています。

歩き方のヒント

まずは五稜郭タワーに登り、全体の星形を頭に入れてから郭内へ下りるのがおすすめです。
形を知ってから歩くと、いま自分が稜のどこにいるのかがわかり、城めぐりが立体的になります。

郭内は広く、ゆっくり一周すると一時間ほど。
箱館奉行所の見学を含めると、半日みておくと安心です。

筆者
タワーで星形を見たあと、土方が倒れた一本木関門のあたり(現在の若松町方面)まで足を延ばすと、物語の最後の数日が一気に近づいてきます。

現代の私たちへ

時代が大きく変わるとき、人はどう身を処すか。
器用に立場を乗り換える生き方もあれば、信じたものを最後まで貫く生き方もあります。

土方歳三が選んだのは、後者でした。
たとえ敗れても、「自分はこう生きる」と決めた一本の線を最後まで引き切った——その潔さが、百五十年を超えたいまも人を惹きつけます。

変化の速い時代を生きる私たちにとっても、「ぶれない芯を一つ持つこと」の強さを、星形の城は静かに教えてくれます。

基本情報(2026年6月時点・必ず公式サイトでご確認ください)

  • 特別史跡 五稜郭跡(公園):郭内への入場は無料。開園時間は時期により変動します(おおむね早朝〜夜まで)
  • 箱館奉行所:9:00〜18:00ごろ(時期で変動)。入館料は大人500円ほど
  • 五稜郭タワー:展望台は有料で大人1,000円ほど。星形を見るならここから
  • アクセス:JR「函館駅」から市電で「五稜郭公園前」下車、徒歩約15分
  • 所要時間の目安:郭内の散策で1時間ほど、奉行所やタワーを含めると半日

料金や開館時間は変更される場合があります。
お出かけ前に、五稜郭タワーや函館市の公式サイトで最新情報をご確認ください。

行く前に読みたい一冊

五稜郭を「土方歳三の終着点」として味わうなら、その生涯を描き切った一冊を読んでから歩くのがおすすめです。
城の見え方が、まったく変わります。

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まとめ

五稜郭は、戊辰戦争最後の戦場であり、新選組・土方歳三が生涯を終えた星形の城です。

いまは桜の名所として親しまれていますが、その星形には、信じた道を貫いた男たちの物語が刻まれています。

『燃えよ剣』を読んでから歩けば、五稜郭は土方歳三の生き様そのものとして立ち上がってきます。

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